OPEN CAVEDETAIL

この住宅は、杉並の住宅地に建つ2世帯住宅だ。クライアントからの要望は、それぞれの世帯は室内では接続をしないこと、母の家は1Fに設けること。2世帯が空間的に接続できない中で、環境的には隣家が非常に近いため、こうした距離感を感じさせずに空・庭・道路といった余白から光や風を取り入れ広がりのある住まいにすることが、今回の大きなテーマになると考えた。

一方敷地は防火地域で、100m2を超えれば耐火建築物となり、法的に軸組をあらわしにすることが出来ない。そうした中で、今回はこれをポジティブに捉え、設計を行うことにした。

具体的には、壁・床・天井といった境界を、必ずしもスチレンボードの模型のように一定の厚みとせず、場所によって意図的にフカシをつくることで、内外を含む空間の隣接関係をより自由に調整し、繊細な敷地環境に応えていった。

例えば1階は、木々を植えた中庭と繋がりたい一方で、窓から4mに満たない距離にある隣家の壁の存在感は減らしたかった。そこで天井を斜めにフカし、窓に向かって天井高さを絞るとともに、窓際では大きく天井をあげて限界まで大きなサッシュをとりつけた。2階ではテラス側の開口部とは別に、隣家からの視線を感じずに道路側からも採光をとるために、一旦天井をフカし、それを一部半円状に織り上げ、一番高いところに開口部を設けることで、入り組んだ立体的な開口部を作り出した。

平面的にも、階段部分は外観上は単なる矩形でありながら内側は回り階段に合わせてアールをつけ、1階から2階への滑らかなつながりを生む印象的な場とした。

こうして積み上げた建築は、外形は街に合わせたスケールに、内部は生活のためのスケールに落とし込まれながら、開口部によってルーズに調整された、開かれた洞窟のような場になった。