meet tree NAKATSUGAWADETAIL

meet tree NAKATSUGAWA

meet tree 中津川

  • Category: Shared Space
  • Date: February,2021
  • Location: Nakatsugawa,Gihu
  • Web: https://www.meettree.net/
  • Photographer: Masao Nishikawa

CLTをひらく 

 

 この計画は、木材関係の事業を中心に、中津川で多角的なビジネスを行う丸山木材工業が、低迷する国内の林業木材業と地域をもりあげるために立ち上げた新規事業である。大きさは防火地域ということもあり100㎡未満だが、地元の桧をつかったコスメの店舗・地元食材を使ったスイーツの飲食店・ネイルサロンが複合した建築だ。建築も、新たな取り組みをしようと、中津川地区そして丸山木材工業初のCLTの利用がコンセプトとなった。 CLT利用となれば、できる限り多くの要素をCLTによって作ることを目指すのが定石だが、私たちは、今回の計画にふさわしいCLTの使い方を選択することで、オールCLTとは異なる建築に行き着いた。 

 

  敷地は中山道とそれに直行する小道に面する角地である。店舗という用途から、計画的には接道する2面は道に開く一方、隣地に接する面は住宅地であることに配慮し、できる限り開口部を開けないことが前提となった。ところが、そもそもCLTを主構造とするCLTパネル工法が、この構成にそぐわない。一部だけ耐震要素を柱・ブレースにして壁をなくすようなことは、基本的には許されないのだ。従って耐震壁を構造的にバランス良く配置しようとすると、道路に面した側も、ある程度壁が出てしまう。 

 

  また内部空間に関しても、3つの用途のどれかに来た客が他にも立ち寄るような動きを作り出すため、全体を巨大なワンルームとして扱い、なるべく壁を排除したかったが、こちらもCLTパネル工法では奥行きを遮るように壁が落ちてしまう。むしろここでは、おおまかな場の規定は分厚いCLTの屋根が担い、あとは展示什器やカフェカウンターなどによって場の用途が定まることが望ましかった。結果的に、敷地の特性と内部の場作りのどちらにとっても、全ての構造をCLTで行う必要性はなく、在来木造の上にCLTを載せるという構造形式を採用することとなった。 

 

  この構造は、実は今回の規模程度であればCLTパネル工法に比べてはるかに確認申請が簡易な、4号建築とすることができる。ルート計算などを必要とせず、1級建築士でなくとも対応可能な建築だ。このことは、地方で木造住宅を中心に設計や施工を行っている建築士や工務店が、みな参加出来るフィールドを提供することになる。純粋なCLT構造ではなくなったかのように見えるこの工法は、まちに大きくひらいた建築を可能にし、CLTを建築・建設業界にひらくものでもあるのだ。