KAZE NO MICHI TERRACEDETAIL

KAZE NO MICHI TERRACE

風の道テラス

  • Category: Shared Space
  • Date: December, 2024
  • Location: Shinjuku-ku, Tokyo
  • Web:
  • Photographer: Masao Nishikawa
まちの骨格に、暮らしを落とし込む

計画の敷地は新宿区の中井で、風情ある四の坂を挟んで林芙美子記念館の斜向かいとなる場所です。周囲の地形は、北が台地、南が川となっており、四の坂だけでなく一ノ坂から八の坂までの坂が、ほぼ並行に通っています。南向きの坂は密集した住宅地でも、どれも気持ちよく風景が抜け、風がとおり、光があかるい豊かな環境になっている、なかなか特徴的な場所です。
そこで私たちが試みたのは、独特の地形から生まれた、坂が平行に並ぶまちの骨格を、そのまま敷地に入れ込むことです。全体のボリュームに5つのスリットを平行に設け、ボリュームを6つに分けました。1,010〜1,310mmまでの決して広くはない隙間ですが、南に建物があっても、空が見え、風がぬけ、光が差し込みます。
通路だけはこれに直行させ、建物を貫通する中廊下と、北側の外構を歩く散策路の二つを設け、中廊下に12戸、北側の散策路には8戸の玄関を設けました。一見分かれた二つの通路は、行き来の風景がスリットによって繋がっています。また、二つの通路は建物の一番奥で繋がってループするようになっており、奥の住戸は、どちらを通っても道に出ることができ、子供であれば建物全体を使って鬼ごっこやかくれんぼも出来てしまうでしょう。手前の広場のような場所も、数人で立ち話をするようなシーンをイメージし、クランクさせて死角をつくり、溜まれるような雰囲気をつくり出そうとしました。
20世帯が集まって暮らすといっても、各世帯の多様なライフスタイルがあり、近い距離感で一緒にいるというよりは、街の中にそれぞれが暮らしているような気楽さがあると良いと考えました。まとまった大きな共用部をつくらず、みちとスリットによって住人同士の関係性を編むように構成したことは、とても現代的な集合のあり方に繋がったのではないかと思います。

■インフィル設計者
住戸01,02:中倉康介建築設計事務所
住戸03-06:miCo.
住戸07-08:Ishimura+Neichi
住戸09-12:田中花巻事務所
住戸13,15,16:TATTA
住戸17-20:YY architects(吉川真理子+庵原義隆)